日本の人情に触れた瞬間: 羽田空港での出来事

羽田空港での出来事


羽田空港で突然、悲しそうな電話の声が聞こえてきた。どうも、福岡から都内に住む娘さんに会いに来てようで、慌てて電話しているようだ。

福岡空港で財布を落とした。ポケットに700円の小銭にしかない。お前のところへ行けないよと、涙声。そうしたら、近くでその会話を聴いていま30歳くらいの若い男性が、ずっと1万札を差し出して、これ良かったら使ってくださいと声をかけてきた。

そのお父さん、見ず知らずの人の好意に、遠慮さながら、そんなに必要ないです、2000円あれば電車に乗れるからと、遠慮していると、若い男性は、困ったときはお互い様ですからと返すだけ。せめて後でお礼するからと、お名前と住所を知らせてくださいと、懇願しても、その男性は、笑顔でそれも告げずに立ち去った。こんな奇特の方もまだいるんだと、思わず心が温かくなった。


そう言えば、自分も新幹線のなかに、現金40万入りの封筒を置き忘れたことがある。さすがに途方にくれていると、どうも仙台駅の駅員に届いてくれた方がいるらしいとの情報があった。

本当に助かった。その方は都内に住む方で、後日、五反田までお礼に行った記憶がある。きっとさぞかし困っているだろうと感じたという。今でも感謝している。まだまだ日本も、人情も捨てたものではない。